UIデザイナーはつまらない?現役UI/UXデザイナーが解説します

UIデザイナーはつまらない?現役UI/UXデザイナーが解説します

こんな方に向けて書いたよ
  • 未経験からWebデザイナー、UI/UXデザイナーを目指しています
  • WebデザインとUIデザインってどう違うの?
  • UIデザインは自由度がなくてつまらないって聞くけど、本当なの…?
この記事の内容だよ
  • WebデザイナーとUIデザイナーの違いを説明するよ
  • UIデザインは、Webデザインとはちょっと違う特徴があるので、そこを説明します
  • 個人的にはUIデザインはめちゃくちゃ面白いと思っているよ

詳しく見ていきましょう。

めがね

はじめに

ぼく

先生、UIデザインってWebデザインよりも自由度が少ないって聞いたのですが、本当ですか?
確かに、UIデザインはデザインルールを決めてかっちりとデザインすることが多いから、ビジュアルの自由度で言うとWebデザインの方が大きいとは思うぞ。

先生

ぼく

すると、UIデザインってけっこう地味というか、つまらない感じなんですかね…?
確かにビジュアルデザインほどの派手さはないが、UIデザインは面白い世界じゃぞ。Webデザインとは少し違った面白さがある。

先生

ぼく

ほほう。。

未経験からWebデザイナー、UI/UXデザイナーを目指していると、UIデザインは地味」「UIデザインはつまらないといった声を聞くかもしれません。

ぼくは事業会社で3年半、フリーランスで1年ほどUI/UXデザイナーとして働いてきましたが、UIデザインはとても面白い世界だなと思っています。

確かにUIデザインはWebデザインに比べ、かっこいいグラフィックをドーン!ダイナミックなアニメーションをバーン!とやることはあまりしないので、そういう意味では派手さはあまりないかもしれません。

ただ、ストレスフリーな設計を突き詰めたり、ちょっとのデザイン変更(例えばボタンの色を変えるなど)でユーザーの動きを大きく変えたり、といったダイナミックさはあります。

このページでは、UIデザイナーはつまらないのか?問題について、UIデザインの特徴を説明しつつ、ぼくなりの意見をまとめてみました。

よければご参考ください。

WebデザインとUIデザインの違いとは?

WebデザインとUIデザインの違いは、一般的には下記のように言われることが多いと思います。

WebデザインとUIデザインの違い
  • Webデザイン
    • かっこよくて魅力あるビジュアル、ブラウザ表現を追求すること。
    • ブランディング寄りのコーポレートサイトや採用サイトを作るイメージ
  • UIデザイン
    • サイトを使う時の画面上の体験(使い勝手とか機能性)をデザインすること。
    • アプリやWebサービスの画面設計を行うイメージ

Webデザイナー、UIデザイナーの違いについて、詳しくはこちら↓の記事にまとめているので、よければご参考ください。

Webデザイナー、UIデザイナー、UXデザイナーの違いと仕事内容_メイン画像 Webデザイナー、UIデザイナー、UXデザイナーの違いと仕事内容
MEMO

個人的には、「Webデザイナーは〇〇」「UIデザイナーは〇〇」といった線引きをするのはあまり好きではなくて、WebデザイナーもUIデザイナーも、「デジタルデバイスを通してユーザーにどのような体験を届けるか」といった点では同じなので、この2者に明確な線引きを求めることはあまり意味がないと思っています。

それよりも、領域にとらわれず視点を広く持って色々なところに首を突っ込んでいった方が、総合的によい結果につながると思っています。

Webデザインと比較した時の、UIデザインのつまらない点

ここからは事業会社やフリーランスでの経験をふまえ、ぼくが思うUIデザインならではの特徴(UIデザインがつまらないと言われる要因)をまとめてみました。

デザインルールを守る必要がある

UIデザインの世界では基本的にストレスフリーな設計が求められます。「ストレスフリーな設計」には色々な観点がありますが、大体下記のようなことを大切にします。

  • 操作性を損ねないようにする
    コンテンツ間のスペースの取り方が適切で視認性があるか、文字サイズが十分で可読性があるか、ボタンのサイズが適切でタップ領域を十分確保できているか、など。サッと読めてパッと操作できるかどうかが重要。
  • 体験の一貫性を保つ
    サービス全体を通じて、色やボタンの形状、文言などをなるべく統一し、ユーザーに混乱を与えないようにすること。例えば画面によってアコーディオンボタンのデザインが異なると、ユーザーがアコーディオンボタンだと認識するまでに時間がかかったり、気づかなかったりしてしまう。
  • スタンダードな設計にする
    一般的な表現、一般的な設計を使う。例えば「メールを送るボタン」の装飾に動物のアイコンを使っても、ユーザーは「?」となってしまう。「メールを送るボタン」の装飾にはメールのアイコンや紙飛行機のアイコンを使うのが一般的で、その方がユーザーもアクションの内容を想起しやすい。
  • アクセシビリティを高める
    障害のある方、ご高齢の方でも読みやすいよう、配色や文字サイズに気をつけること。また、電波状況が悪かったりデバイスの処理能力が低かったりしてもサービスを利用できるよう、jsやデータの処理が重くならないように配慮すること。

こうしたことを守り品質を担保するために、事業会社によっては自社でデザインルール(デザインシステムと言います)を定義しているところもあります。
新しい画面をデザインしたりする際、UIデザイナーはデザインルールに従ってデザインをする必要があり、あまり自由にデザインできるわけではありません。

また後述しますが、GoogleやAppleからもデザインのガイドラインが出されており、これらも加味する必要があります。

ぼく

人事・労務のクラウドサービスを提供しているSmart HRでは、デザインシステムを外部にも公開していたり、デザインシステム構築に関する書籍も出されています。

良くも悪くも、GoogleやAppleに縛られる

近年、WebブラウザはGoogle ChromeやSafariが、検索エンジンはGoogleが、スマホはiPhoneとAndroidがシェアの大半を占めています。(参考:Webブラウザ検索エンジンスマホ

このことからも、Webデザイン、UI/UXデザインは、GoogleとApple抜きにして語ることはほぼできず、GoogleやAppleが提供する環境をよく理解した上でデザインを行う必要があります。

上でも触れたように、Googleは「Material Design」、Appleは「Human Interface Guidelines」というデザインのガイドラインを公開しています。これらのガイドラインを遵守することは、下記のようなメリットがあります。

  • ユーザビリティを高める
    GoogleやAppleは、ユーザービリティに関して莫大なナレッジを持っています。そのナレッジが詰まったガイドラインですので、視認性や操作性を高めるための考え方や、アクセシビリティをケアした考え方がまとまっています。
  • デバイスの種類や諸設定をケアできる
    例えばAppleだと、iPadやiPhone、Apple Watchなど様々なデバイスがあります。また同じデバイスでも、ダークモードorホワイトモード、文字サイズを大きくor小さく、といったように、設定から様々な表示設定を行うことができます。ガイドラインではそうしたデバイス周りのこともケアされているので、「表示設定を変えたらぐちゃぐちゃになってしまった…!」といったことを防ぐことができます。

その他、SEOが大きく関わるWebサービスだと、Googleの検索アルゴリズム(コアアルゴリズムと言います)の動向に沿ったデザインが求められます。

またiOS向けのアプリだと、アプリ申請時にAppleの審査基準の一つにデザインが入ってくるので、それをケアする必要があります。

ぼく

こんな感じで、サービスによってはGoogleやAppleの顔色を伺いながらデザインをする必要があり、自由なデザインがしにくかったりします。
MEMO

GoogleやAppleのデザインガイドラインはざっくりとした方針や思想を示しているだけなので、実際のボタンの色やサイズ感などは各デザイナーが決める必要があります。そのため上で述べた各企業ごとのデザインシステムは、GoogleやAppleのデザインガイドラインをもとに、さらに実務に合った形に落とし込んでいることが多いです

また、これらのガイドラインはあくまでも指針であって、「絶対に守らなければいけないもの」というわけではありません。現場の実態に合わせて取捨選択する姿勢が大切だったりします。

数字をより強く意識する

WebデザインだとクライアントOKが出れば納品して終了、ということがわりとありますが、UIデザイン、特に事業会社のUI/UXデザイナーだと、画面改修による費用対効果をかなり意識します

例えば商品一覧の画面を新しく作った場合、既存の画面と新しく作った画面とでABテストを行い、どちらが効果が出るかを検証し、効果が出なければ既存の画面に戻したりします。

また「効果があったかどうか」を判断する指標として、KPIというものを立てます。
KPIは例えば、「現状20.5%の画面遷移率を、22.5%に向上させる」といった感じで設定し、ABテストでこの数字を超えたらば効果あり、とみなします。

ぼく

こんな感じで、UIデザインはけっこうドライというか、定量的な結果をかなり追い求める風潮があります。
MEMO

UIデザインでは、仮説を立て、検証し、評価する、というサイクルを常に回し続けますそのため、常に分析ツールとにらめっこし、数字の変化をキャッチアップする姿勢が必要になります。

数字が苦手だったり、分析に苦手意識がある方は、ちょっと苦しさを感じるかもしれません。

UIデザインの面白いと思うところ

ここまで、UIデザインがつまらないと言われる要因について述べてきましたが、個人的にはUIデザインはとても面白い世界だと思っています。

ここからは、ぼくが思うUIデザインの面白い点について述べていきます。

ぼく

これから話す内容に魅力を感じるようであれば、UIデザインを楽しむことができると思います。

結果が目に見えてわかる

上でも述べたように、UIデザインは「効果があったのかどうか」を定量的に見ていくので、デザインの効果の有無を数字で確認することができます

デザインをやっていると、クライアントから「ありがとう」という言葉をいただくことがあります。
それはそれで大変嬉しいのですが、ぼくはちょっと性格がひねくれているというか、「とはいえ、そのデザインって果たしてどれほどの意味があるのか?」と思ってしまい、素直に喜べない気持ちもありました。

ただUIデザインだと、自分が作ったデザインの効果が数字として現れてくるので、そこに納得感や満足感を感じることができます。

ぼく

効果が出なかったら出なかったで、「効果あると思ったけど効果ないんだ!おもしろ!」という気持ちになります。なんというか、現実と向き合っている感じがしてぼくは好きです。

ちょっとの変化でユーザーの行動が劇的に変わる

UIデザインでは、画面のほんの一部分を変えただけでユーザーの行動を大きく変えるダイナミックさがあります

例えばボタンの色を変えただけでクリック率が跳ね上がることもありますし、問い合わせフォームの必須項目を一つ減らすだけで問い合わせ数が上がったりします。

ユーザーが無意識に行なっている行動を見つけ出し、ミニマムなデザインでコントロールすることは、UIデザインならではの面白さだと思います。

ぼく

Googleアナリティクスのグラフが大きく変化したりすると、結構ウハウハな気持ちになります。
MEMO

ぼくの経験では、ボタンの色を赤から緑に変えたことでクリック率が1.5倍くらい上がったことがあります。人間は赤を危険色、緑を安全色と認識する傾向があるので、ボタンに対する抵抗が和らいだのかなと思います。

とはいえ「赤は絶対ダメで緑を使うべき!」というわけではありません。サービスやターゲットユーザーによって最適な配色が存在するので、どの色がクリック率を高めるかは都度調査が必要です。

1pxに命を吹き込む

UIデザインではスペースの取り方や画像サイズなどを、px単位で調節していきます。

Webデザインやビジュアルデザインでも細かい間隔調整、サイズ調整は行うのですが、わりと目視で調整をすると思います。

一方でUIデザインは、本当に「何pxあるのか」を測ってカチッと整えていく感じがあります
1pxを大事にするのでかなりチマチマした作業ではありますが、この作業をやると画面の見た目がかなり洗練されてきます。

ぼく

細かい作業に没頭している時間は、けっこう楽しかったりします。

サービスを育てている感じがする

事業会社のUIデザイナーだと、同じサービスに長く携わり、何度も検証を繰り返すことになります。

検証で成功したこと、失敗したことが積み重なってくると、徐々にサービスのことがわかってきて、次第に愛着が湧いてきます。

ぼく

1年ぐらいすると、なんだか植物を育てているような気持ちになります。

UIデザイナーが感性を爆発させる瞬間

「感性を爆発させる」というと語弊があるかもしれませんが、UIデザイナーでもWebデザイナーのように、縛りから解放されてわりと自由にデザインができる瞬間があります。

いくつか見ていきましょう。

バナーを制作するとき

会社によっては、サービスのUIデザイナーがそのまま広告用バナーのデザインを担うところもあります。

バナーはクリック率を上げるためにビジュアルを立たせる必要があり、ビジュアルデザインのスキルが試されます。

文字サイズやフォント、配色なども比較的自由なので、既存のデザインルールから解放されてビジュアル表現を行うことができます(もちろんトンマナは配慮しないといけませんが。。)。

LPやオンボーディング画面を作るとき

アプリの使い方や新規機能の内容など、難しい内容をわかりやすく説明するときに、グラフィックを用いたLPやオンボーディング画面を用意することがあります。

こうしたLPやオンボーディング画面は、なるべくテキスト量を減らして視覚的に内容を伝えようとすることが多く、グラフィックデザインの腕の見せ所だったりします。

また、キャンペーン用のLPを作る際も、けっこう華やかな演出をしたりすることがあります。

新規サービスを立ち上げるとき

新規にサービスを立ち上げる時は、サービスコンセプトやデザインルールが定まっていないので、ゼロから作り上げる必要があります。

もちろん一般的なUIデザインのマナーを踏襲する必要はありますが、ボタンの形や配色、キービジュアルなどは自分で作り上げ、定義していくことができます。

ぼく

ぼくも新規サービスの立ち上げに携わりましたが、初期段階ではデザインルールは厳格には設けず、後からルールを決めていく流れをとりました。

まとめ

  • Webデザイナーと比べて、UIデザイナーの方がデザインの自由度が少ないのは事実
  • ビジュアルデザインをバリバリやりたい、かっこいいデザインを作りたい人にとっては、UIデザインはちょっとつまらなく感じるかも
  • けど、結果が数字で見えるユーザーの無意識行動を変えるなど、UIデザインならではの面白みもある

以上で「UIデザインはつまらない?」のお話はおしまいです!

ぼく

お疲れ様でした。どうもありがとさん